こんにちは大野です。
自立工法は支保工がなく掘削工事・鉄筋工事・躯体工事がやりやすくなる工法です。
しかし、支保工を設置しないため、山留壁の変形が大きくなる工法であるため、変位の管理が重要となります。
「変位の最大値はいくつにすればよいか?」というお話をしていきます。
土木基準での最大変位
土木山留の基準書「道路土工 仮設構造物指針」に許容変位について明記があります。
「山留壁の頭部変位は、掘削深さの3%を目安にする」
とあります。
具体的には
掘削深さH=2.0m → 許容変位60㎜
掘削深さH=3.0m → 許容変位90㎜
掘削深さH=4.0m → 許容変位120㎜
となります。
ただし、既設構造物が隣接している場合は、隣接構造物に与える影響を考慮し変位量を抑制しなければなりません。
建築基準での最大変位
建築基準の「山留め設計施工指針」では具体的に最大変位を定めていません。
山留をする現場の状況により現場ごとに基準を定めなければなりません。
しかしながら、建築学会から2015年に
「近接山留めの手引き」が発行されました。
その中に既設構造物が近い場合の変位の基準が記載されています。
構造物までの距離:L
掘削深さ:H
①L/H=1未満の場合
近接構造物が小規模構造物の場合:20㎜以下
近接構造物が木造・S造の場合:20㎜以下
近接構造物がRC造・SRC造の場合:10㎜以下
②L/H=1~2未満の場合
近接構造物が小規模構造物の場合:40㎜以下
近接構造物が小規模構造物以外の木造・S造の場合:40㎜以下
近接構造物が小規模構造物以外のRC造・SRC造の場合:20㎜以下
※小規模建築物 基礎がRCの直接基礎形式で、地上3階以下、建物の高さ13m以下、軒高9m以下および延べ面積500m2を満足する建物のこと
上の基準は
小規模構造物と小規模構造物以外の木造・S造の場合は背面地盤の傾斜角を3/1000以下
小規模構造物以外のRC造・SRC造の場合1/1000以下
となるような山留の変位量から定められています。
今日は自立工法の最大変位についてのお話でした。
それではまた。
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