ディープウェル渇水停止によって地下躯体の浮上がったトラブル

こんにちは。大野です。

今日はディープウェル渇水停止による地下躯体の浮上たという事例のお話です。

 

躯体が浮き上がった状況

 

 

一階の床まで躯体が完成すれば、

「もう地下水は関係ないはず。ディープウェルを早く止めれば、それだけが水処理費が節約になる」と思い、さっそくディープウェルを停止したとこと、建物が浮き上がり傾いてしまった。

 

 

浮上った原因

 

 

構造物の地下は、コンクリートの箱のようなものです。

重そうに見えても、地下水位が高く、その浮力が建物の重量を上向ければ浮き上がってしまいます。

一度浮き上がってしまうと、慌ててもう一度水位を下げて戻そうとしても、基礎底に土砂が回り込んでる可能性が高く、完全にはもとに戻りません。

 

浮上り防止対策

ディープウェルを停止するときには慎重に時期を検討しなければなりません。

 

次の対策をしなければなりません。

①構造物の重量が浮力を上回るまで、ディープウェルによる渇水を続ける。

②地下ピット内に水を張るなど、建物重量を増加させ、浮力とのバランスを取ります。

 


今日はディープウェル渇水停止によって地下躯体の浮上がったトラブルについてのお話でした。

 

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それではまた。

掘削中の山留壁に薬液注入で止水方法

こんにちは。大野です。

今回は山留壁から出水した場合に、薬液注入により止水をする場合があります。

その時におこる可能性があるトラブルについてのお話です。

 

薬液注入によるトラブル

山留壁からの出水を止めるために、すでに掘削が進んだ山留壁背面に薬液注入を行う場合があります。

薬液注入とは圧力により地盤に薬液を浸透させる工法です。

そのため、薬液注入を施工する際に上の図のように、山留壁に薬液注入圧が山留壁に加わるので注意が必要です。

 

山留壁におこりうるトラブル

山留壁がSMWの場合はソイルセメントに亀裂が入る可能性があります。鋼矢板の場合は変位が大きくなります。

 

山留支保工におこりうるトラブル

山留支保工に想定以上の圧力が加わりますので、腹起の変形・切梁の座屈・取り付けボルトの破断等のトラブルが考えられます。

 

地盤に加わる薬液注入圧

 

トラブルの対策のために、安全性を確認したうえで薬液注入する必要がありますが、薬液注入の圧力が山留壁にどの程度の影響を与えるかの評価は難しいといわれています。

薬液注入位置や地盤条件によりどの程度影響を与えるかによって、山留壁に加わる圧力は変化します。

また、注入圧は注入量・注入方法による影響も大きいといわれています。

 

 

安全性の検討方法

 

そのためすでに掘削してある山留壁背面に注入する場合は、薬液注入圧を100%側圧に加算して検討を行います。

土圧+薬液注入圧の圧力により、山留壁と山留支保工が安全か否かを検討します。

部材が持たない場合は、山留壁や山留支保工を補強をする必要があります。

補強が困難な場合は、現在の部材でもつような注入圧を計算し、それ以下で注入するように計画をします。

 

施工時の注意点

 

すでに掘削した山留壁の背面に薬液注入をする場合には薬液注入圧の管理が重要となります。

注入時には注入圧の管理とともに山留壁の変位と、切梁の軸力などをよく点検しながら施工を行う必要があります。

山留支保工が限界になると、接続ボルトが破断するといわれています。

点検する際にはボルトに注意しておきましょう。

 


今日は掘削中の山留壁に薬液注入で止水するお話でした。

 

山留壁の地下水処理に関する記事はこちら

 

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できる範囲でお答えしようと思っています。

それではまた。

 

集中豪雨によるボイリング事例

こんにちは。大野です。

今日は集中豪雨により、掘削床から地下水位が噴き出すボイリングが起きた事例を紹介します。

 

ボイリングの発生状況

掘削が終わり、均しコンクリート打設後一週間経過した時点で、局地的な集中豪雨が2日~3日降り続き、山留壁の背面地下水位が上昇した。

その直後に、根切り底面に盛り上がりが生じ、厚さ100㎜の均しコンクリートに亀裂が発生し、水が噴き出してきた。

山留壁は掘削側に押し出されて変形し、腹起しは曲がるように変形した

また、切梁は軸力の上昇が確認され、山留壁の背面地盤が幅0.5m、深さ2.0mの範囲で土砂の陥没が見られた

 

 

 

ボイリングが発生した原因

ボイリングの発生原因を以下のように考察しました。

①集中豪雨により周辺の地下水位が急激に増加し、ボイリングが発生たため、掘削側のかま場排水の能力不足となり、排水が間に合わない状況になった。

そのため均しコンクリート下面の水圧が上昇し、曲げモーメントにより、捨てコンクリートに亀裂が発生したものと推測される。

 

②均しコンクリートの亀裂により山留壁が掘削側に変形したところ、および鋼矢板の打設時にオーガーで先行削孔を行ったため地盤が乱されていたことが原因となり、山留壁に沿って、地下水が土砂とともに場内に回り込み、背面地盤に陥没が生じた。

 

対策

以下の対策を行った。

 

初期対策

①ポンプアップを中止して、掘削内に水を溜め、掘削背面の地下水との水頭差を少なくし、掘削底面からの出水を止めた

②掘削背面の陥没箇所に砂を埋め戻し、周辺の土砂崩壊が拡大しないした。

 

工事を再開するための対策

①根入れ部の受動側の地盤が乱されたことと、1段目の切梁の荷重負担を軽減させるため、二段目切梁を設置した。

②山留面に沿って水みちができ、雨水の流入を防ぐため、山留め壁の天端付近にコンクリートを打設した。

 

 

 

学んだ教訓

掘削場内に地下水位の回り込みがあり、場内の排水が十分でない場合、均しコンクリート下面の水圧が上昇し、本事例のように、均しコンクリートに亀裂が発生する可能性がある。

そのため、かま場排水の場合、渇水能力、設置場所、設置数について十分に検討する必要がある。

また、かま場排水以外のウェルポイント工法やディープウェル工法も合わせて検討することも必要である。

 

 

 

今日は集中豪雨によるボイリングの事例についてのお話でした。

 

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれの対策についてはこちら

 

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それではまた。

 

リチャージ工法とは

こんにちは。大野です。

今日はディープウェル工法と一緒につかわれる。リチャージ工法について説明していきます。

 

リチャージ工法とは

 

リチャージ工法はディープウェル工法で渇水した地下水をディープウェルと同じ構造をした遠く離れた井戸にいれ、水を処理する工法のことです。

 

↓↓リチャージ工法の概略図

 

リチャージ工法はどのようなときに採用するの?

 

ディープウェルで渇水した地下水位は通常は下水などの公共排水を利用して処理します。

以下のような理由の時にリチャージ工法を採用することが多いいです。

①ディープウェルの渇水により周辺地下水位の低下が問題となるとき

②ディープウェルの渇水量が多く、公共排水への放水量を確保できないとき

 

リチャージ工法を採用する際の検討項目

 

①地下水の水質

地下水位の水質を検査し、水質の汚染がないかをチェックします。

地下水中の鉄分が酸化すると目詰まりがおこりやすくなるため、鉄分の量を検査し、多い場合には渇水した地下水と空気が触れないように処理をします。

水質の検査により細粒分やバクテリアが多い場合は、リチャージする井戸の目詰まりが起こるため、リチャージする前にそれらを取り除く手段を講じます。

 

②注入地盤の透水性

リチャージする地盤が水が浸透しにくい透水性の低い地盤はリチャージが難しいため、透水性の良い砂や礫層の地盤でないと採用できません。

 

③山留・掘削面・構造物の安定

リチャージによる山留壁の背面の水圧上昇や掘削面のボイリング・ヒービング・盤ぶくれ等の安定、構造物にかかる浮力増加により構造物が浮き上がらないかの検討を行う必要がある。

 

④必要渇水量

渇水する帯水層と同じ層にリチャージする場合は、必要渇水量が多くなるため、その分を見込んだ排水計画を行う必要がある。

 

⑤余水の排水

渇水した地下水を全量リチャージできない場合は、余水の排水ルートについて確保しておく必要があります。

 

リチャージ工法の採用のポイント

 

リチャージ工法の採用を検討する際は次のようなことに注意します。

 

①リチャージ工法は地下水位の水質と注入する地盤の性質により決まります。

②注入速度を遅くするため、注入側のストレーナーをできる限り長く、井戸径をできるだけ大きく設計します。

③井戸内の水位を定期的に計測し、目詰まりの進行について調べます。必要な場合は定期的に井戸洗浄を計画します。

 

今日はリチャージ工法についてのお話でした。

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれの対策についてはこちら

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それではまた。

 

 

盤ぶくれの検討の方法

こんにちは。大野です。

 

今日は盤ぶくれに対する安全性の検討に関するお話です。

盤ぶくれは難水水槽の下に被圧帯水層がある地盤で掘削を行う場合、掘削による土被り圧の減少に伴い、被圧地下水の揚圧力によってその上の掘削底面が持ち上がる現象をいいます。

盤ぶくれが発生すると、掘削底面が破壊し、山留の全体の崩壊につながります。

 

 

盤ぶくれの検討方法

盤ぶくれに対する安全性は次式によります。

 

F=ɤ×d/ɤw×h≧1.0

 

 

F:盤ぶくれに対する安全率

ɤ:土の湿潤単位体積重量(kN/ m3)

d:掘削底から難透水層以下までの距離(m)

ɤw:水の単位体積重量(kN/ m3)

h:被圧帯水層の水頭(m)

ɤw×h:難水槽下端に作用する被圧水による揚圧水力(kN/ m3)

 

土被り圧の他に揚圧力に対する抵抗要素として、地盤と山留壁の摩擦力などが考えられるが、摩擦力の効果は無視し、安全率をF≧1.0とします。

 

盤ぶくれ対策後の安定計算の方法

盤ぶくれが予想される場合、対策工を行いますが、対策工を計画した後の盤ぶくれ検討の方法を対策別に記載します。

①掘削底面下の被り圧水頭をディープウェル等によって低下させる対策をした場合。

⇒対策後の被圧帯水層の水頭により上式で再検討する

 

 

②止水性の山留壁を延長し、不透水層に根入れする対策をした場合。

⇒不透水層に根入れすることで、盤ぶくれが起きなくなるので、検討は省略します

 

③掘削内を地盤改良し、地下水を遮断し土破り圧を増加させる対策をした場合。

⇒地盤改良を遮水層とし上式で再検討をする

 

 

 

 

今日はボイリングの検討方法についてのお話でした。

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれの対策についてはこちら

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それではまた。

 

山留のボイリングに対する安全の検討方法

こんにちは大野です。

今日は山留設計を行う際に、ボイリングの安全性の検討方法についてのお話です。

ボイリングは砂地盤のような透水性の大きい地盤で止水性の山留壁の鋼矢板やSMW工法で掘削する場合に起こる現象です。

 

ボイリングの検討方法

ボイリングは山留壁の水頭差により、掘削底面付近の砂地盤上向きの浸透流が生じ、砂が沸騰したような状態となり、地盤が破壊される現象です。

そのため、水位差による水圧と根入れ部の土の重量の比較により安全性の検討を行います。

 

ボイリングに対する検討は下式により求めます。

F=2×ɤ×D/ɤw×hw

F:ボイリングに対する安全率

ɤ:土の単位体積重量(kN/m3)

D:山留壁の根入れ長 (m)

hw:水位差(m)

ɤw:水の単位体積重量(kN/m3)

 

ボイリング対策後の検討方法

 

ボイリングの対策工を計画した場合の検討方法は対策別に次のようになります。

 

①山留壁の根入れを長くして不透水層へ先端を挿入した場合

⇒不透水層へ先端を挿入することで、上向きの水圧がかかることがなくなるので、ボイリングの検討は省略することができます

 

②掘削場内外の地下水位をディープウェルやウェルポイントにより低下させる対策をとった場合

⇒地下水位を下げた状態で、上式にて再検討を行い、山留壁の根入れ長を決定します

施工中も水位が計画通りに下がっているか、日常点検が必要になります。

 

 

③掘削内を地盤改良し、透水性の減少や強度の増加を図る対策をした場合

地盤改良の強度の検討と地盤改良と山留壁の付着力を考慮して、水圧に対して安全であるかを確認する必要があります

 

 

今日はボイリングの検討方法についてのお話でした。

 

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれの対策についてはこちら

 

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それではまた。

 

ディープウェルとウェルポイントの日常点検として何が必要か?

こんにちは!!大野です。

ディープウェルとウェルポイントの日常点検についてのお話です。

 

掘削中にディープウェルやウェルポイントが止まると、地下水位が回復しますので、掘削した箇所は水没しています。

 

バックホウなどの建設機械が水没すると、多額の修理費がかかってしまします。

そのため、日常点検が重要になります。

 

ディープウェルウェルポイントの日常点検について説明します。

 

ディープウェルの日常点検

 

ディープウェルの日常点検と保守は下のようなものがあります。

 

  1. ディープウェル、観測井戸内部の水位を計測します。
  2. ディープウェルのケーシング周辺に噴砂が生じていないか、目視による点検をします。
  3. 渇水量に急激な変化がないか、渇水した地下水中に多量の砂が出てないかをノッチタンクで点検します。
  4. 地下水位の計測記録を取っておきます。
  5. 排水系統と電気系統の点検を行います。停電に備えて、発電機などの予備電源を確保しておくことも重要です。
  6. 水中ポンプが壊れた場合を想定して、予備のポンプをすぐに準備できるようにしておきます。

 

ウェルポイントの保守点検

 

ウェルポイントの日常点検と保守は下のようなものがあります。

  1. 所定の吸引力が発揮されているか、真空、渇水量に急激な変化がないかチェックします。エアー漏れを確かめ、漏れを確認したらすぐに止めます。
  2. ポンプ系統、ヘッダーライン系列、電気系列の清掃点検を定期的に行います。日々の観測記録をとります。
  3. 各ポンプは基本的に24時間運転であることに注意し、停電時に備えて予備電源を確保します。
  4. ポンプ類の給油は定期的に行います。
  5. 冷却水の管理を確実に行います。

 

↓↓ウェルポイントの構造

 

今日はディープウェルとウェルポイントの日常点検についてのお話でした。

どれではまた。

 

 

 

地下水処理の種類

こんにちは!!大野です。

今日は地下水処理の種類について説明していこうと思います。

 

掘削工事において地下水処理を行う目的として、以下の事項があります。

①掘削工事におけるドライワークの確保。

 掘削土に含水が多いと作業性や残土搬出時に水切り処理が必要になります。

②ボイリング・盤ぶくれ・土砂流出の防止

③山留壁外側の地下水位低下による、山留壁に作用する側圧の低減

 

掘削工事のトラブルは、地下水位が関係していることが多くみられます。

適切な地下水処理によって、これらのトラブルを未然に防ぐことが必要です。

 

 

地下水処理の代表的な工法

①釜場工法

②ウェルポイント工法

③ディープウェル工法

について説明していきます。

 

釜場排水

↓↓釜場排水の概略図

掘削床よりやや深い部分に釜場と呼ばれる直径1.0m・深さ1.0m程度の集水ピットを設け、ポンプによって排水する工法です。

比較的小規模な湧水に対して採用される工法です。

 

長所:設置が容易であり、状況により容易に計画の変更が可能です。

短所:ボイリングが生じるような地盤では地下水処理が間に合わない場合がある。

 

 

ウェルポイント工法

↓↓ウェルポイント工法の概略図

直径500㎜、長さ700㎜程度の集水管(ウェルポイント)をライザーパイプに1~2m程度の間隔で地中に打ち込み、これを真空状態にして強制的に地下水を吸い込み渇水する工法です。

長所:祖砂から砂質シルト層まで広範囲の土質に適用可能で、増設が比較的容易です。

短所:ヘッダーパイプからの水位降下量は実質的には4~6m程度しか期待できません。

本数が多く、ウェルポイントの配置によっては掘削工事に影響が出る場合があります。

 

 

ディープウェル工法

↓↓ディープウェル工法概略図

掘削部内外に深さ数m~数十mのウェルを設け、水中ポンプによって渇水する工法です。

特に砂質や砂礫層などの透水性のよい地盤に適用すると効果的です。

長所:水位低下量が大きく完全なドライワークが可能です。

短所:他の工法に比べて設置に手間と費用が掛かります。

 

 

今日は地下水処理についてのお話でした。

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれついてはこちら

 

山留に関する質問がある場合は、コメントをお願いします。

できる範囲で回答しようと思っています。

 

それではまた。