掘削中の山留壁に薬液注入で止水方法

こんにちは。大野です。

今回は山留壁から出水した場合に、薬液注入により止水をする場合があります。

その時におこる可能性があるトラブルについてのお話です。

 

薬液注入によるトラブル

山留壁からの出水を止めるために、すでに掘削が進んだ山留壁背面に薬液注入を行う場合があります。

薬液注入とは圧力により地盤に薬液を浸透させる工法です。

そのため、薬液注入を施工する際に上の図のように、山留壁に薬液注入圧が山留壁に加わるので注意が必要です。

 

山留壁におこりうるトラブル

山留壁がSMWの場合はソイルセメントに亀裂が入る可能性があります。鋼矢板の場合は変位が大きくなります。

 

山留支保工におこりうるトラブル

山留支保工に想定以上の圧力が加わりますので、腹起の変形・切梁の座屈・取り付けボルトの破断等のトラブルが考えられます。

 

地盤に加わる薬液注入圧

 

トラブルの対策のために、安全性を確認したうえで薬液注入する必要がありますが、薬液注入の圧力が山留壁にどの程度の影響を与えるかの評価は難しいといわれています。

薬液注入位置や地盤条件によりどの程度影響を与えるかによって、山留壁に加わる圧力は変化します。

また、注入圧は注入量・注入方法による影響も大きいといわれています。

 

 

安全性の検討方法

 

そのためすでに掘削してある山留壁背面に注入する場合は、薬液注入圧を100%側圧に加算して検討を行います。

土圧+薬液注入圧の圧力により、山留壁と山留支保工が安全か否かを検討します。

部材が持たない場合は、山留壁や山留支保工を補強をする必要があります。

補強が困難な場合は、現在の部材でもつような注入圧を計算し、それ以下で注入するように計画をします。

 

施工時の注意点

 

すでに掘削した山留壁の背面に薬液注入をする場合には薬液注入圧の管理が重要となります。

注入時には注入圧の管理とともに山留壁の変位と、切梁の軸力などをよく点検しながら施工を行う必要があります。

山留支保工が限界になると、接続ボルトが破断するといわれています。

点検する際にはボルトに注意しておきましょう。

 


今日は掘削中の山留壁に薬液注入で止水するお話でした。

 

山留壁の地下水処理に関する記事はこちら

 

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できる範囲でお答えしようと思っています。

それではまた。

 

掘削を掘り過ぎた場合の山留への影響

こんにちは。大野です。

今日は掘削を掘り過ぎた場合の山留への影響と対策についてのお話です。

 

掘削深さの計画

 

山留壁の計画では山留支保工の設置高さー1.0mまで掘削を行って、支保工を架設します。

 

支保工を取り付けるブラケットを溶接するためと、山留支保工を架設するときの作業する人の作業性を考えて山留支保工ー1.0m定めるのが一般的となっています。

 

 

1次根切時に掘り過ぎた場合

1次切時は、土中の仮想支点で支持した片持ち梁と考えられています。

下図のLの長さの片持ち梁として検討をします。

片持ちばりの変位は、長さの3乗に比例しますから。掘り過ぎると頭部が大きく変位します

 

2次根切以降に掘り過ぎた場合

2次根切以降は、上段の切梁と根切床以深の仮想支点で支えられた単純梁となります。

下図のLを支間長とする単純梁で検討を行います。

掘り過ぎにより支点間距離が長くなりますので、やはりたわみが大きくなります。

床付け深さが同じで、切梁設置高さも同じ場合でも、各次の掘削深さを深くすると変形量が大きく変わってきます

 

 

最終掘削時に掘り過ぎた場合

最終掘削時の掘り過ぎは、山留壁の安全性の面で問題があるばかりでなく、建物の支持地盤を荒らすことになり、品質上の問題もあります。

 

山留壁への影響

最終掘削で掘り過ぎると、根入れ長さが不足し、山留壁の足元をすくわれることになり、山留壁の根入れ不足になります。

根入れ不足は山留壁が掘削側へ変形することにより、掘削底面の破壊にもつながります

 

支持地盤への影響と対策

基礎の形式にもよりますが、最終掘削(床付け)面は、建物を支えるのに必要な耐力が必要です。

もし、床付け地盤を掘り過ぎてしまったら、埋め戻して自然地盤と同程度の強度を持つように転圧、締固めが必要です

自然地盤と同程度に締め固めるのが難しい場合は、ラップルコンクリートなど打設して対策を行います。

 


今日は堀り過ぎによる、山留トラブルについてのお話でした。

 

山留支保工のトラブルに関する記事はこちらにも書いています。

 

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それではまた。

 

杭工事の山留工事への影響

こんにちは。大野です。

杭工事の山留工事への影響についてのお話です。

 

杭工事の山留工事への影響

 

杭を地上から施工する場合、基礎底面から上の部分も削孔し、杭施工後に埋め戻されます。

埋め戻しの際に、削孔による現地発生土を埋め戻しに使用しますと、残土の搬出が低減され、また、埋め戻し土の搬入がなくなるため経済的になります。

 

しかし、特に粘性のある地盤では、埋め戻し部が十分に締め固められないので、掘削工事の際に受動土圧が小さくなり、山留壁の変形が大きくなります

そのため、山留壁に近い外周部の杭に関しては、良質土の砂で埋め戻すか、石灰など固化材を混入して埋め戻します

 

 

 

現場発生土で埋め戻しを行う場合の検討方法

 

固化材などによる埋め戻し土の強化を行わない場合は、杭部分の地盤強度の低下を考慮して山留の検討を行う必要があります。

 

杭施工により、受動側の粘着力、内部摩擦角、変形係数を低減させます。

 

低減率の考え方として下図のように

低減率=A/(A+B)

A:杭周(m)

B:杭径(m)

このような式で低減を行います。

変形や曲げ応力が許容範囲内かを検討しておきましょう。

 


今日は杭工事の山留工事への影響についてのおはなしでした。

 

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それではまた。

集中豪雨によるボイリング事例

こんにちは。大野です。

今日は集中豪雨により、掘削床から地下水位が噴き出すボイリングが起きた事例を紹介します。

 

ボイリングの発生状況

掘削が終わり、均しコンクリート打設後一週間経過した時点で、局地的な集中豪雨が2日~3日降り続き、山留壁の背面地下水位が上昇した。

その直後に、根切り底面に盛り上がりが生じ、厚さ100㎜の均しコンクリートに亀裂が発生し、水が噴き出してきた。

山留壁は掘削側に押し出されて変形し、腹起しは曲がるように変形した

また、切梁は軸力の上昇が確認され、山留壁の背面地盤が幅0.5m、深さ2.0mの範囲で土砂の陥没が見られた

 

 

 

ボイリングが発生した原因

ボイリングの発生原因を以下のように考察しました。

①集中豪雨により周辺の地下水位が急激に増加し、ボイリングが発生たため、掘削側のかま場排水の能力不足となり、排水が間に合わない状況になった。

そのため均しコンクリート下面の水圧が上昇し、曲げモーメントにより、捨てコンクリートに亀裂が発生したものと推測される。

 

②均しコンクリートの亀裂により山留壁が掘削側に変形したところ、および鋼矢板の打設時にオーガーで先行削孔を行ったため地盤が乱されていたことが原因となり、山留壁に沿って、地下水が土砂とともに場内に回り込み、背面地盤に陥没が生じた。

 

対策

以下の対策を行った。

 

初期対策

①ポンプアップを中止して、掘削内に水を溜め、掘削背面の地下水との水頭差を少なくし、掘削底面からの出水を止めた

②掘削背面の陥没箇所に砂を埋め戻し、周辺の土砂崩壊が拡大しないした。

 

工事を再開するための対策

①根入れ部の受動側の地盤が乱されたことと、1段目の切梁の荷重負担を軽減させるため、二段目切梁を設置した。

②山留面に沿って水みちができ、雨水の流入を防ぐため、山留め壁の天端付近にコンクリートを打設した。

 

 

 

学んだ教訓

掘削場内に地下水位の回り込みがあり、場内の排水が十分でない場合、均しコンクリート下面の水圧が上昇し、本事例のように、均しコンクリートに亀裂が発生する可能性がある。

そのため、かま場排水の場合、渇水能力、設置場所、設置数について十分に検討する必要がある。

また、かま場排水以外のウェルポイント工法やディープウェル工法も合わせて検討することも必要である。

 

 

 

今日は集中豪雨によるボイリングの事例についてのお話でした。

 

ボイリング・ヒービング・盤ぶくれの対策についてはこちら

 

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それではまた。

 

山留支保工の腹起がすべった事例

こんにちは。大野です。

今日は山留支保工の腹起がすべったてしまった事例の紹介です。

実際の現場で起こった事例ですが、この腹起しがすべって背面地盤が沈下する事例は多いいです。

原因は計画時の対策不足や施工時の対策の設置しわすれなどが多いようです。

 

腹起しのすべった山留の形状

 

コの字の山留支保工で、腹起しが掘削側へすべり、鋼矢板頭部も大きく変位した。

 

↓↓山留形状はこのような形

 

滑りが発生した原因

 

前方に山留壁がない場合は、腹起しに作用するすべり止め補強が必要となるが、これらの対策が行われていなかった

 

腹起しがすべらない対策

 

①腹起しにすべり止め補強を行った

山留材の補助ピースをハイテンションボルトで腹起しにとりつけて、鋼矢板と腹起しの隙間に、裏込めコンクリートを打設した。

 

↓↓このようなすべり止め設置

すべり止めを設置することで、腹起しがすべろうとする力は、ピースを介して鋼矢板に伝わり、周辺地盤との摩擦で支持されます。

 

山留壁が親杭の場合は山形鋼を利用したする下の図のような方法がとられている。

↓↓山留壁が親杭の場合のすべり止めの例

 

②山留壁の変位が大きいため、山留壁と構造物の位置の干渉がないかを確認した

 

③山留壁の背面地盤の沈下が考えられるので、砂をクラックに入れて、地盤の隙間を埋めた

 

今後の教訓

 

①山留支保工にすべりが生じそうな場合は、すべり止め対策を計画し、対策工の強度が十分にあることを確認しておく。

 

すべり止め対策工は詳細図を作図し、施工する業者に十分説明をしておく

 

③出隅・入隅のある山留め支保工の計画を行うときは、力の伝わり方およびバランス・土の集中・支保工の取り合いなどの検討も行う。

 

 

 

今日は山留支保工のトラブル事例についてのお話でした。

 

 

 

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それではまた。