こんにちは大野です。
今日は山留支保工の切梁工法に採用する切梁工法についてのお話です。
掘削工事において、山留壁の変形や山留壁の変形に伴う周辺地盤の沈下を抑制するため、切梁に油圧ジャッキで圧力をかけ、山留壁に外向きの力を働かせ掘削をしていく工法をプレロード工法といいます。
プレロード工法の利点
切梁プレロード工法を導入するメリット
①掘削による山留壁の変形を少なくできます。
②周辺地盤の沈下やクラックなどを小さく抑えることができます。
③切梁の継手部や腹起しと山留壁間のなじみを取ことができます。
プレロード導入軸力
プレロード導入軸力は、地盤条件や切梁の剛性、山留壁の条件、隣接建物の条件を考えて設定しなければなりません。
基準書では、設計荷重の50%~80%の範囲で計画すると記載されているものが多くあります。
しかしながら、親杭横矢板のように剛性の低い山留壁では、プレロードをかけすぎると、背面側に大きく変形するので、剛性の低い山留壁でのプレロードのかけ過ぎはかえって危険となってしましいます。
切梁軸力の50%~80%におよぶプレロードはSMWのような剛性の高い山留壁に限って行ったほうが良いです。
剛性の低い山留壁では、切梁の設計軸力の30%を目安として計画し、実施の際の計画で、山留壁でも大きなプレロードを導入するときは、山留の全体のバランスを崩したり、切梁を大きく蛇行させる危険性があるので、計測による管理を行う必要があります。
プレロードの導入手順
切梁設計軸力が大きい時は、全体のバランスを悪くしたり、切梁の蛇行が大きくなるのを防ぐ為に、2~4回にわけて油圧ジャッキの加圧力を上げていきます。
①予備加圧
100kN~200kNを加圧する。
切梁のジョイントとの遊びを取ることとジャッキ内のエアー抜きを目的として行う。
②導入サイクルの1サイクル分の加圧をする。
③ジャッキの伸び量を計測
ジャッキストロークの残量を確認
④切梁の蛇行やボルトの緩みを確認。
切梁の蛇行の確認
各種ボルトの緩みを確認
②~④を繰り返し計画の軸力を導入する。
計測を目的とした土圧計付き油圧ジャッキを設置した場合の導入軸力
単に油圧ジャッキ(土圧計付き)を用いて、土圧管理をするだけの場合は、切梁・火打等のなじみを取る為に必要な加圧力100kN~200kN程度を導入して終わりです。
火打ちに使用する油圧ジャッキは火打ちと腹起のなじみをとる目的で設定するので、100~200kN程度の導入となります。
今日はプレロードについてのお話でした。
質問やご意見がある方はコメント欄までお願いします。
できる範囲で回答しようと思います。
それではまた。
コメント
何時も参考にさせていただいております。
ところで
③切梁の継手部や腹起しと山留壁間のなじみを取ことができます。
の「なじみを取る」とは「なじませる(なじみを確保する)」という意味合いなのでしょうか?
コメントありがとうございます。
「なじみを取る」という表現はわかりにくいと思いますが、説明していきます。
山留支保工は部品をボルトで結合しながら組み立てていきます。
山留支保工の部品は何回も使用しますので、変形が多少ですがあります。
その変形により部品と部品の間には少し隙間が空いてしまいます。
この隙間を「なじみ」と表現しています。
この隙間をなくすことを「なじみを取る」と表現しています。
非常によくわかりました。
それにしても「隙間」=「なじみ」とは面白い表現ですね。
ありがとうございました!
いつも勉強させていただいております。さて、交差切梁でのプレロード導入手順ですが、下段→上段の順と認識してますが、その理由を教えていただけないでしょうか?何卒よろしくお願い申し上げます。
コメントありがとうございます。
正確な理由ではないかもしれませんが、私の認識で回答させてもらいます。
上段切梁は下段切梁に支えられて設置されます。
そのため上段を先にプレロードすると、下段をプレロードした場合に上段切梁に横方向の力が加わりやすくなるためだと思います。
下段からプレロードしたほうが、上段切梁への影響が少ないためだと認識しています。