一般的に切梁、腹起の鉛直距離は3m程度ですが、構造物とのとりあい上5~6mあけたい場合、応力計算が許せば可能なのか。
何か問題があるのか。
このことについて、今日は話していこうと思います。
結果から言いますと、各機関の切梁、腹起しの設置間隔は原則であり、目的に合った設置手法で十分な安全性が確保された場合は、特に基準にこだわる必要はないです。
基準で適用されている一般的な設置間隔
土留工の設計で掘削深さがH=4.0m以上の場合、土留め工の部材寸法及び切梁、腹起し等の各基準で適用されている一般的な設置間隔は、以下のとおりです。
①切梁・腹起しはH300X300を最小部材とし、垂直間隔は3.0m程度とします。
②切梁の水平間隔は5.0m以下とします。
安全性を十分に検討したうえで監督者の承認を得た場合は、切梁、腹起し等の間隔を大きくすることができます。
山留支保工の設置間隔を大きくすることができる条件
山留支保工の設置間隔を大きくできる条件は次の項目などがあります。
①大規模な地下掘削工事
②大きな剛性を有する土留め壁を採用した場合
③地下埋設物等を避ける必要がある場合。
④間隔を大きくすることで、構造物の構造性が損なわれず、しかも施工性が高まるとともに、経済性でかつ安全性が確保できる場合。
⑤周辺に重要構造物がなく、山留壁の変形に支障がない場合
山留支保工の設置間隔を大きくするときの確認事項
①部材の応力度が許容値内であること。
掘削深さH≦10mであれば、慣用計算法で検討します。
それ以上では弾塑性法で検討します。
②周辺地域への影響が少ないこと(山留壁の変形が小さいこと:周辺構造物の許容変位内に収まる変位量)
土留め壁の変形に伴う周辺地盤の沈下等は、慣用計算法の計算結果で予測することは難しいです。
そのため、周辺構造物への影響を検討するには、場合は弾塑性法で検討する必要があります。
③土留め全体の安定が確保できること
背面地盤及び構造系全体の崩壊などを考えて、総合的に検討をし、安全性が確保された場合は、切梁、腹起の垂直間隔を3.0m以上としてよいです。
上記の条件をクリアすれば、基準を守る必要はありません。
切梁設置間隔が広くなると、地下工事の作業性が上がります。
鉛直間隔や支保工設置位置は躯体をどこまで構築してから支保工を解体するという、解体手順も考慮してから設定してください。
今日は切梁間隔に関するお話でした。
それではまた。
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