こんにちは大野です。
今日は親杭横矢板で土留めを計画するときに注意する事のお話です。
親杭横矢板工法に適さない地盤条件
親杭横矢板は、他の山留壁に比べさまざまな設置方法が選択でき、特にかたい地盤には工事費が安くなるためよく採用される工法です。
しかし、止水性がない壁となるため、基本的に床付け面より地下水位が低い場合に適した山留壁となります。
したがって、地下水位が床付け面より高い砂質地盤では山留壁から出てくる地下水を処理をする必要があります。
ただし、地下水とともに周辺砂質土が流出し背面の地盤沈下の可能性がある場合や近隣井戸などの支障が生じる恐れがある場合は採用は使用しないほうが良い工法です。
↓このように床付け面より高い位置に水位がある場合は、親杭横矢板工法は採用できません。
根入れ部が連続していないため根入れ部の受動抵抗が弱いため、軟弱地盤での深い掘削には適しません。
また、掘削してから親杭を入れるまでの間に崩れてしまうような軟弱なシルト地盤等には適しません。
↓こんのような軟弱地盤には親杭横矢板工法は不向きです。
親杭の位置の決め方
親杭と地下躯体の離隔は、躯体と敷地境界線との距離、親杭の施工方法親杭の施工精度、親杭の変位、地下躯体と親杭間の埋め戻しの有無を考慮して決める。
山留壁を躯体の型枠として利用する場合は、親杭の施工誤差と掘削に伴う変位を考慮して、躯体との隙間を100mm程度開ける必要があります。
躯体と敷地境界に余裕がない場合は隙間を50mm程度で施工する場合もあるが、施工精度と変位に注意を払う必要があります。
構造物に外防水が採用されている場合、構造物と山留壁の間に人が入っての作業や足場を組まなければならないので、隙間を600mm程度の離れを見込む必要があります。
近接したところに構造物がある場合の親杭の決め方
親杭の設置位置が近接する構造物と近接している場合には、親杭施工可能寸法について検討を行う必要があります。
代表的な施工機械での施工可能寸法です。
↓バイブロ工法の一般的な離れ
↓パルソニック工法の一般的な離れ
↓油圧ハンマー工法の一般的な離れ
親杭の根固め配合
埋込みにより親杭を施工する場合は、受動抵抗を十分に発揮させるために、杭の根入れ部に根固め液を注入す場合があります。
また、周辺地盤の緩みおよび掘削時の親杭の変形を少なくするために、根固め液を注入する場合があります。
根固め液の配合に関しての文献はありませんが、
実績として親杭を引き抜くときは水セメント比:800%ぐらいを目安に配合しています。
また、引き抜かない場合には水セメント比:400%ぐらいで計画をします。
コーナー部の親杭配置
親杭のコーナー部(隅部)の配置は下図のように配置します。
入隅と出隅で配置の方法が違いますが、親杭を45°回転させる場合は、通り芯を外に逃がさないと躯体と干渉してしまいますので、注意が必要です。
↓入隅部の配置はこのような配置です。
↓出隅部の配置はこのような配置です。
今日は親杭を計画するお話でした。
それではまた!!
コメント